選べる労働時間、広島電鉄導入
広島電鉄(本社・広島市中区)は26日、9月中旬から短時間正社員制度を導入すると発表した。理由を問わず本人の希望に応じて勤務時間が決められ、フルタイムに戻ることも可能。希望者を転換させるほか、新規採用者にも適用する。同社は「少子高齢化が進む中、多様な働き方が選べる環境を整備して人材を確保したい」としている。
同社は、1734人(6月15日現在)の正社員のうち、電車の運転士と車掌、バスの運転手が7割を占める。勤務時間はシフト制で早朝、深夜の勤務もあり、1日の労働時間は7・5時間だが、待機時間などで拘束時間は10時間を超えることも。65歳の定年前でも不規則な勤務による体力の不安から、短時間勤務を望む人もいたため、数年前から検討していた。
(中略)
短時間勤務の社員が増える分をカバーするため、65歳の定年以降も再雇用する、シニア社員制度の対象を66歳から70歳に引き上げる。
(読売新聞中国地方版 6月26日)
健康状態や社会との関わり方への希望に個人差の大きなシニアの雇用を増やすには、柔軟で多様な就労形態を用意する必要がある。ただ、柔軟で多様な就労形態を望んでいるのは、シニアだけではないのも事実だ。育児や介護と仕事を両立させたい人、健康に不安があって長時間の就労が困難な人など、それこそ多様な人々が、それぞれの事情に合った働き方を求めている。
広島電鉄が導入する短時間正社員制度は、すべての世代の従業員に、正社員の身分を保障しながら、パートタイムでの勤務を可能にする制度だ。育児期間中だから、あるいは、シニアだからと特別扱いするのではなく、一般的な人事制度として短時間勤務を取り入れている。そして、結果として、シニアの雇用増につながっている。人手不足による従業員構成の多様化に伴い、今後、こうした人事制度が普及していくことは間違いない。