求人倍率 バブル期並み 高齢者や主婦の就業者は増加
人手不足が一段と強まり、雇用に関する指標が改善している。厚生労働省が28日発表した3月の有効求人倍率(季節調整値)は前月より0.02ポイント高い1.45倍で、バブル期の1990年11月以来26年ぶりの水準。総務省発表の完全失業率(同)も前月と同じ2.8%と低水準だった。ただ家計の節約志向は根強く、消費はなお勢いを欠き、物価も低迷している。
有効求人倍率は全国のハローワークで仕事を探す人1人あたり何件の求人があるかを示す。3月は3カ月ぶりに上昇した。正社員の有効求人倍率は0.94倍で2004年に統計を取り始めて以来最高だった。1倍を下回っており、今なお求人の方が求職より少ない状態。企業は長期の視点で人手を確保するため、正社員の求人を増やしている。
(中略)
失業者は188万人と前年同月に比べて28万人減った。自営業を含めた就業者は6433万人。パート賃金の上昇などを背景に、これまで職探しをしていなかった主婦層や高齢者が働き始めたことで、69万人増えた。
(日本経済新聞 4月28日)
失業者が減り、就業者の総数が増加しているにもかかわらず、有効求人倍率は27年ぶりの水準まで上昇している。完全失業率も完全雇用の状態とされる3%前半を割り込む状態が続いており、人手不足は経済成長の抑制要因として強く意識される状況になってきた。
人手不足を緩和させるには、労働生産性の向上と労働市場への新たな労働力の供給が必要となる。外国人労働者の受入れに制約のある日本では、新たな労働力として期待できるのは、女性や高齢者だ。実際、就業者の前年同月比69万人増に主に貢献したのは、主婦層と高齢者だった。
高齢者の更なる労働参加を促すには、制度の充実だけでなく、高齢者の労働生産性を向上させる取り組みも重要だ。新たなテクノロジーを応用して、体力や時間をそれほど使わなくても成果を上げられる職場環境を整備しなければならない。作業補助ロボット、自動運転、人工知能による業務支援、インターネットによる遠隔業務支援など多くの取り組みが既に始まっている。これらの研究開発が、生産性の向上と高齢者の労働参加を促し、人手不足軽減に貢献することを期待したい。