高齢社員の働き方改革 独立法人が「戦力化マニュアル」作成
雇用延長が進む中、独立行政法人「高齢・障害・求職者雇用支援機構」が、「65歳超雇用推進マニュアル」を作成した。ヤマト運輸、サントリー、野村証券といった55の企業を調査した具体事例を詳細に分析しながら、“お荷物”にしない高齢社員の働き方改革を提案。高齢者の「雇用確保」から「戦力化」へと転換を促す狙いだ。将来的には、年金制度の破綻の恐れから、定年制度自体の廃止も見込んだノウハウを指南している。
(中略)
事例を基に、雇用支援機構は「戦力化」に向けた定年引き上げに際し、(1)「戦力」とするなら、これまでの経験を生かせる職務が一番(2)職務や職を変える場合は納得性が大事(3)「居場所」の確保が大切(4)人事制度は「生き物」、職場の意見をしっかり吸い上げる-などを提案している。特に、高齢社員への役割を明示し、職場環境の整備や教育訓練の必要性を強調した。
(産経新聞 4月25日)
高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)の「65歳超雇用推進マニュアル」は、事例に基づき、雇用延長、定年制の廃止、再就職の受入れなどについて制度見直しの手順や顧慮すべき点をまとめた説明資料だ。ヤマト運輸やサントリーのような大企業だけでなく、従業員90名の豆腐屋製造販売業や従業員40名の樹脂フィルム加工業の企業も紹介され、掲載されている事例はバラエティーに富んでいる。
企業規模の大小に関わらず、共通している課題は、いかに高齢者の能力を業務に活かすかだ。過去に蓄積した経験があればそれを活かし、経験はないが潜在的な能力があれば教育訓練で顕在化する。高齢者の雇用が、「戦力化」するには、こうした仕組みが組織に組み込まれていなければならない。加えて、現場の組織が高齢者に敬意を払い、高齢者も誇りと責任感を持って業務に取り組むという組織風土を育むことも重要だ。