シニア雇用増へ地域で起業支援 厚労省、100の協議会
厚生労働省は高齢者の雇用を促進するために、地域での起業などを支援する官民の協議会の数を、現在の15から100に増やす。働く意欲のある70~74歳の高齢者の約3割は仕事に就けておらず、地域で埋もれた労働力となっている。高齢者を雇う地域ビジネスの起業を促し、労働力不足や地域が抱える課題の解決につなげる。
数を増やすのは、地方自治体が中心となって官民でつくる協議会。協議会を母体として高齢者の就業につながる事業を提案し、厚労省から認められれば委託費がもらえる。今年度から始まった新しい取り組みだ。
厚労省はこの協議会の数を2020年に100まで増やす。限界集落での送迎サービスや、農家が経営するレストランなど、地域の事情や特性に合わせた事業を育て、高齢者の就業機会の増加につなげるねらいがある。
(日本経済新聞 2月20日)
地域の特性を活かし、地域の課題を解決するコミュニティー・ビジネスが各地で立ち上がっている。地域に根差したコミュニティー・ビジネスは、その地域の高齢者の雇用の受け皿になっているが、中には、高齢者自身が起業家となって、雇用の創出に貢献している例も少なくない。
たとえば、静岡県松崎市の「であい村 蔵ら」は、平均年齢60代後半の女性たちが集まって運営しているレストランだ。地元に古くからある「なまこ壁」の蔵造りの古民家を改装して、食事の他、地域の産品や手芸品を提供している。その結果、多くの観光客が訪れるようになったが、同時に、地域住民の憩いの場としての魅力もある。「であい村」は、観光客と地域住民の交流の場として機能することで、新たな出会いの場となり、ビジネス創造のきっかけを生み出す場となるだろう。
こうしたコミュニティー・ビジネスの機会は、全国津々浦々に潜在している。それらのアイデアを発掘し、事業化し、継続することをどのように行政や社会が支援するか、そこがこれからの課題だ。