高齢者の再就職支援窓口4倍に 厚労省、20年めど300カ所
厚生労働省は高齢者の再就職支援を拡充する。ハローワークの専用窓口を現在の80カ所から2020年をめどに4倍近い300カ所に増やす。退職後に自分の故郷などで再就職したい人と地方企業などをつなぎ合わせるための全国的な官民の体制もつくる。
厚労省が14日午後に開く働き方改革実現会議で提案する。増設するのは全国のハローワークの中にある「生涯現役支援窓口」。65歳以上の高齢者の再就職を重点的に担う専門の窓口で、今年度から設置が始まった。求人や技能講習の紹介、履歴書の書き方、面接の受け方などを専門家がサポートしている。高齢者向けの求人を開拓するための人員も増やす計画だ。
このほか自分の故郷で再就職する「Uターン」や、新しい土地で就職する「I・Jターン」を望む高齢者の希望を踏まえたうえで、ふさわしい就職先を紹介するための全国規模の情報ネットワークをつくる。金融機関や商工会議所、中小企業団体とも協力する。
年齢にかかわらず、能力に応じて働き続けられる社会の構築につなげるための支援策も盛り込んだ。年齢だけを理由に雇い入れを敬遠する企業が少なくない中で、個人の能力や経験を重視して高齢者の採用に積極的な企業の情報を収集し、高齢者向けに提供する。
(日本経済新聞 2月15日)
厚労省がハローワークに設置している「生涯現役支援窓口」を80カ所から200カ所に拡大する方針は、昨年から決まっていたが、今回の提案では、全国規模の情報ネットワークの構築など、より具体的な施策が盛り込まれた。今後の働き方改革実現会議での前向きな議論に期待したい。
現在活動している80カ所の「生涯現役支援窓口」は、高齢者の支援だけでなく、高齢者の能力を活用しようとする企業の開拓でも貢献している。今後、金融機関や企業団体などの民間のネットワークとの協力が進み、かつ、広域にサービスを展開することができれば、高齢者を雇用する企業の開拓は加速する。特に、全国に事業所を展開する企業にとっては、一か所のハローワークとの間で高齢者雇用の仕組みを作ることによって、全国の「生涯現役支援窓口」のサポートを受けられるようになると便利だ。全国規模の情報ネットワークの価値をどこまで引き出すか、それが今後の成功の鍵となる。