スーパー、シニア活用 人手不足で即戦力生かす
スーパーでシニア雇用が広がっている。首都圏を地盤とするサミットは12月中旬からシニア従業員の雇用年齢の上限を70歳から75歳に引き上げる。70歳まで雇用するマルエツは65歳以上のシニア比率が6%を超えた。小売店では人手不足が続いており、経験豊かで即戦力になるシニア人材を生かし店の競争力を保つ。
サミットはパート社員の雇用年齢上限を60歳から65歳に延長する。パート社員が定年した後に再雇用する年齢の上限も70歳から引き上げて75歳まで働けるようにする。
サミットは60歳以上の従業員が全体の約2割を占めており、新制度で働く意欲の高い従業員の要望に応える。75歳まで就労できるようにするのは珍しく、年齢上限を引き上げることで新規採用にもつなげる。
(中略)
マルエツは15年2月期から直接雇用する従業員の年齢上限を65歳から70歳に引き上げた。現在は65歳以上の従業員が約1300人に増え、店舗で働くパートなどの従業員の6%強を占める。70歳以上のシニアも健康診断や面談などの条件をクリアすれば傘下の人材派遣会社に登録してから継続して働ける。
(日本経済新聞 11月29日)
小売や外食での人手不足は、次第に深刻になっている。そのため、パートやアルバイトの時給は上昇しているが、それでも求職者はなかなか増えない。
スーパーの労働力の中心であったパートの主婦は、配偶者控除の制限を超えることを嫌うため、時給が上がると労働時間を減らす傾向がある。時給の上昇が労働力供給の減少を招くという市場経済の原則とは逆の現象が起きている。
そこで、スーパーが期待しているのは、主婦以外の層だ。ジェネラル・マーチャンダイズ・ストア(GMS)と言われる総合スーパーでは、レジ係として主婦に交じって若い男性が働いている。
同様に、シニアへの期待も高い。シニアにとって、スピードを要求されるレジ係は厳しいかもしれないが、商品の陳列や顧客対応は経験を活かすことのできる業務だ。スーパーはコンビニなどの小規模小売店に比べて業務の多様性が大きい。その分、シニアの活躍の機会もまた、より大きくなるだろう。