高齢者の労働力、使えば輝く日本の潜在力、OECD調査
日本は経済成長に向けた高い潜在力を持っている-。そんな指摘がある。人口減に伴う内需縮小が懸念される中、能力の高い女性や高齢者の労働力を活用し、豊富な資本を元手に持ち前の技術力でビジネスを拡大し、何十年も改善していない生産性を向上させれば、急成長が期待できるとの見方だ。
(中略)
OECDの調査では、女性と同様に調査対象の最高齢となる55-65歳の年齢層でも、日本は読解力と数的思考力でいずれも1位だった。しかし、多くが55歳以上で定年を迎えることから就業率は急激に下がる。村上氏は高齢化が進み、生産年齢人口が減少する日本にとって隠れた人材の活用が不可避とみる。
日本の高齢者は他国に比べて勤労意欲も高い。米国、スウェーデン、ドイツ、日本の4カ国で実施した内閣府の調査によると、「今後も収入の伴う仕事をしたい」と答えた高齢者は日本が44.9%と一番多かった。理由は「収入がほしい」が49%、「体に良いから」が24.8%、「仕事が面白いから」が16.9%の順番だった。
(ブルームバーグ 11月17日)
日本の高齢者は能力も勤労意欲も高い。勤労の機会が適切に提供されれば、高齢者は労働力の貴重な供給源として、より大きな役割を担うことができる。ただ、「収入の伴う仕事をしたい」人が多く、その理由として「収入が欲しい」が多いのは、日本の高齢者が置かれている経済状況が厳しいことの裏返しとも言える。
例えば、「収入の伴う仕事をしたい」理由で「収入が欲しい」が少ないのは、高福祉国家のスウェーデンだ。スウェーデンでは、「収入が欲しい」を理由として挙げる人は20%に過ぎない。同じEUのドイツも30%と少ない。逆に、「仕事が面白いから」を理由とする人は、スウェーデンで60%、ドイツで50%を超える。
このことは、日本においても、高齢者の就業機会が増え、経済的な心配が後退すれば、次に求められるのは面白い仕事だということを示唆している。面白い仕事であれば、生産性も上がるだろう。一定の収入を確保できて、かつ、面白いと感じることのできる仕事、高齢者を日本の経済成長のエンジンにするには、そういう仕事を供給することが重要だ。