富士通、転職した社員も再雇用 即戦力獲得へ
富士通は退職した社員の再雇用を拡大する。育児と介護を理由とする退職者を対象としていた現行制度を見直し、転職や進学、配偶者の転勤などの都合で辞めた退職者にも門戸を広げた。人手不足から退職した人に復職を促す企業が増えているが、転職が目的だった人を呼び戻す制度は大手電機メーカーでは珍しい。
再雇用制度を「カムバック制度」に変更し、元社員が再雇用の希望を登録できる受付サイトを開いた。
転職者の多くは勤め先に見切りを付けたり、処遇に不満を感じたりして辞めていくため、一般的には再雇用に慎重な企業が多い。富士通は主力の企業向けIT(情報技術)サービスが専門性を必要とすることから、過去に勤務した人材が即戦力になると判断。高度な知識を持ちながら何らかの事情でやむを得ず退職した人材も多いと見て、復職しやすい環境づくりを進める。
これまでは育児や介護で退職した社員が退職時に再雇用希望を登録した場合に限り、雇用形態も有期契約だった。新制度では配偶者の転勤、進学、転職などの理由を認め、退職時に再雇用の希望を登録していなかった元社員も対象とする。
(日本経済新聞 8月20日)
企業も従業員も、雇用に対するニーズは時とともに変わる。両者の求めるものが食い違って、一旦、退職に至っても、時が経てば再び両者のニーズが合致して、再雇用することが両者の利益になることもある。そう考えれば、元社員の再雇用を排除することの方が不合理だ。
富士通もそうだが、一般に、グローバルに展開している日系企業の海外法人では、必要な人材であれば元社員であっても雇用する。過去に転職できたということは、その人を高く評価した企業がいたという証左でもあり、むしろ、より高い条件を提示して積極的に奪い返しにいくこともある。
グローバルな競争に打ち勝つには、人材獲得でもグローバルなルールで戦わなければならない。