アクティブシニア活躍推進で埼玉県が総合対策・就労と社会活動
埼玉県は今年度から、高齢者の就労と社会活動への参加を広げる「アクティブシニアの活躍推進」の総合対策に取り組む。「シニア活躍推進宣言企業」制度を始め、企業を訪問して雇用を促進するほか、ボランティアなど社会活動に参加するきっかけも用意する。少子高齢化が進むなか、元気な高齢者が経験などを生かして現役世代と共に社会を担う環境を目指す。
就労支援では15日から、県中小企業診断協会と連携し、今年度中に中小企業など1000社を訪問。高年齢者雇用安定法の対象を超える66歳以上の継続雇用や定年延長、培った経験やスキルを生かせるシニア向けの仕事づくりなどを働きかける。
一定の条件を満たす企業はシニア活躍推進宣言企業に認定。シンボルマークをイメージ向上に活用したり、低利な産業創造資金の融資を利用できたりするメリットがある。今年度に300社、2年間で1000社を認定し、雇用を拡大したい考えだ。県シニア活躍推進課は「参考事例をモデル化し、県内に普及させていきたい」としている。
県内8カ所に設置したセカンドキャリアセンターで、職業紹介や就職支援セミナーも実施する。
ボランティアなど社会活動の機会拡大も目指す。「埼玉都民」など現役時代は地域に目を向けることがない人も多いため、地域活動に参加しやすい環境をつくる。公益財団法人いきいき埼玉は、ボランティアとしての一歩を踏み出してもらう「いきいきボランティア養成講座」を始めた。9日に所沢市で開いた初回は、ボランティアの基礎知識についての講演の後、5団体が取り組みを紹介。約20人が熱心に耳を傾けた。
(日本経済新聞 地方版 7月14日)
全国各地の地方自治体でシニアの雇用促進のための事業が始まっている。埼玉県の総合対策もそのひとつだが、雇用だけでなく、ボランティアなどの社会活動の機会拡大も目指しているところがユニークだ。
シニアの持つ能力を社会のニーズに結びつけるという点では、雇用も無償の社会活動も変わらない。無償の社会活動から、地域に根差した新たなコミュニティー・ビジネスが生まれることもある。
今まで、地域社会と関わりの薄かった人々が、定年退職を契機に地域コミュニティーに目を向け、その地域の抱える課題に取り組めば、問題解決の新たな解を見出す可能性は高くなる。さらに、それを事業化することができれば、地域に新たな雇用を創出することができる。まずは、シニアの意欲や能力と地域社会のニーズをマッチングさせることが重要だ。