70歳以上も店の戦力 ライフやマルエツ、雇用条件緩和
食品スーパー大手は70歳以上のシニアが働く場を広げる。ライフコーポレーションやマルエツはパート従業員が70歳を超えても働けるように雇用条件を緩和した。定年を65歳から引き上げる動きも相次ぐ。政府も高齢者雇用を後押ししており、慢性的な人手不足に悩むスーパーは専門知識を豊富に持つシニアを生かして集客力を高める。
最大手のライフは優秀で健康なパートを対象に、70歳を超えても継続雇用できるようにした。現状はパートの定年は65歳で5年間延長できる制度がある。働く意欲のあるシニアが多いことから3月から順次、雇用している。
シニアの継続雇用は店舗の人繰りや本人の意向を考慮し、事業所長である店長が決める。明確な雇用期限は設けない。賃金体系は現在の契約を引き継ぐが、運用しながら最適な労働条件を今後詰める。マルエツは2015年度から70歳以上のパートを活用する。雇用契約を終え、傘下の人材派遣会社に登録してもらう。既に41人がレジ打ちや鮮魚加工などの業務に従事する。上田真社長は「60代のパートが『まだ10年以上働ける』と思えることが、やりがいにつながる」と指摘する。
65歳を定年とする制度の延長も相次ぐ。マックスバリュ中部は16年度以降、パート社員の定年を65歳から70歳に引き上げる。新たにシニアのパートを雇用する際の年齢についても満65歳未満から満70歳未満に引き上げる。コープさっぽろ(札幌市)は16年度からパート・アルバイトの定年を60歳から65歳に延長した。カスミもパートの定年を67歳から70歳にした。
(日本経済新聞 4月16日)
コンビニや外食だけでなく、スーパーでもシニアの採用が拡大している。特に、衣料品や日用品も売る総合スーパーに比べて、食品に特化した食品スーパーの業績は堅調で、人手不足が顕著だ。新たなパート社員を募集するより、65歳を超えた既存のパート社員を雇用し続ける方が、採用コストも低いし、現場のノウハウを蓄積しているだけにパフォーマンスも高い。シニア・パート社員の定年延長は自然な流れだ。
さらに、マックスバリュ中部のように、新規に採用するパート社員の年齢も65歳未満から70歳未満へ引き上げる動きが広がれば、シニア労働市場全体の拡大が加速する。シニアの職業選択の幅が、またひとつ広がりそうだ。