OECD事務総長、女性、高齢者の雇用環境改善を提言

経済協力開発機構(OECD)のアンヘル・グリア事務総長は11日、日本記者クラブで会見し、来年4月に予定されている消費税率の10%への引き上げについて「重要な約束だ。安倍晋三首相は引き上げを発表済みで、市場もそうするだろうと期待している」と述べ、予定通り増税すべきだとの考えを示した。

日本の消費税にあたる欧州の付加価値税は平均約20%に達している。グリア氏は「日本も15%まで上げる余地はある」と述べた。

また、グリア氏は会見に先立ち、石原伸晃経済再生担当相らに政策提言を手渡した。提言にからみグリア氏は「日本は成長率低下が課題で、生産性の向上や女性、高齢者の雇用環境改善などが重要だ」と訴えた。
(産経新聞 4月11日)

OECDのグリア事務総長が、政府の国際金融経済分析会合に出席するため来日し、記者会見をした。日本のマスコミでは、消費税増税を先送りするか否かに関心が集中しているが、日本にとっての喫緊の課題は、グリア事務総長が指摘しているように経済成長率の低下だ。

IMFが4月12日に公表した世界経済見通しでも、金融市場の不安定化の震源地とされる中国について、中国政府の政策を踏まえて成長率予想を引き上げたのに対し、16年の日本の成長率予想は、0.5%と半分に引き下げた。日本の成長率予想の引き下げ幅は、先進国の中で突出している。

この日本経済の低迷に対して、OECD事務総長が女性や高齢者の雇用環境の改善を提言している点は重要だ。欧米先進国の基準から見ると、ここに改善の余地があるということであり、経済成長を牽引する余地があるということだ。経済成長が女性や高齢者の雇用を拡大させるのを待つのではなく、女性や高齢者の雇用拡大によって経済成長を促進させる施策が求められている。