定年引き上げの助成金拡大 支給基準、66歳以上に
厚生労働省は意欲のある高齢者が働きやすいように定年退職の年齢引き上げを企業に促す。
定年を70歳以上に引き上げないと助成金を出さない制度を改め、4月から支給基準を「66歳以上」に広げて使いやすくする。65歳以上の社員を雇う企業が40~50代の中高年の転職を受け入れた場合、1人あたり40万円を出す助成金制度もつくる。
定年を引き上げた企業は就業規則の変更など制度の導入にかかる経費として100万円をもらえる。定年を迎えた正社員が非正規社員として働ける継続雇用制度を導入した場合も助成する。
助成金をもらえる企業の数は基準の緩和で大幅に増える見通しだ。2015年の厚労省調査によると、70歳以上まで働ける企業は全体の2割にとどまっている。希望者全員が65歳以上まで働ける企業は7割を超える。
40~50代の転職を後押しする助成金は1人当たり40万円を受け入れ企業に出す。1社につき最大500人まで支給する。
企業間で話し合って、転籍を決めることを条件にする。グループ企業内や下請け企業などへの転籍は助成金の対象から外す。
(日本経済新聞 3月31日)
年金の支給開始年齢の引き上げに伴い、65歳までの定年延長は一般的になってきた。助成金の支給基準を70歳以上から66歳以上に拡大する今回の措置は、さらなる定年延長を促進させようとするものだ。
助成金を期待して定年を70歳にしようとしていた企業の中には、66歳でも助成金をもらえるなら、定年を70歳から66歳に引き下げる企業も出てくるのではないか、と心配するのは杞憂だろう。おそらく、定年の引き上げ予定年齢を下げる企業よりも定年を65歳以下から66歳以上に延長する企業の方が多い。
また、助成金の金額では、40~50代の中高年の転職を受け入れた企業に1人当たり40万円を支給する助成金の方が大きくなる可能性がある。3人受け入れれば120万円となり、定年延長の助成金の100万円を超える。これは、中高年の雇用拡大に、一定の効果を発揮するだろう。