宅配便に高齢者が参入
高齢者が互いに助け合う地域社会を目指す伊万里市のNPO法人・栄町地域づくり会(会員37人)は25日、活動拠点の栄町ふれあい館で、宅配業務の開始式を開く。佐川急便との業務提携による高齢者の社会参加で、社会問題の解決、生きがいと安心の街づくりの“一石三鳥”を狙う。
(中略)
今月15日、研修会を開いた。佐川急便は毎日2回(午前10時と午後2時)、ふれあい館に荷物を届ける。配達員は荷物を仕分けして順次、会の自転車で宅配する。配達料は1個100円。会は全額を配達員に支給する。
配達区域は栄町、つつじケ丘の806世帯2262人。佐川急便は「配達需要は1日平均30個。委託はトラック1台分の負担軽減になる」と言う。午後5時までに配達できなかった荷物は、同社が引き取り配達する。
(毎日新聞 9月23日 地方版)
人手不足に悩む宅配業界では、高齢者や女性の雇用が広がっているが、自社で雇用するだけでなく、外部への業務委託でも高齢者の活用を模索し始めた。地域に根ざした高齢者の団体は、その格好の委託先となる。
1個100円の配達料で1日30個という配達個数では、労働生産性の面では厳しい。しかし、高齢者同士のふれあいや見守りの機会を増やすという付加価値を考えれば、行う意味のある活動となる。
高齢者宅へ配達に行くと、お菓子をもらったりして若い配達員が喜ぶことがあるが、若い配達員はノルマに追われて長居をすることができない。効率をそれほど重視しなくて済む高齢の配達員であれば、生活の様子や体の調子など、様々な情報を共有することができる。この活動は、今後、地域の助け合いの輪の強化に貢献していくことだろう。