コマツ、選択定年制を導入 シニア副業も解禁
コマツは4月から従業員が定年時期を決める選択定年制を導入する。従来一律60歳だった一般社員の定年年齢を60歳か65歳で選べる。60歳でいったん定年退職してパートタイム型の再雇用として働く場合には副業も認める。シニア層の価値観が多様化するなか、伝統企業でも社員の柔軟な働き方を受け入れる動きが広がってきた。
(日本経済新聞 2月8日)
日本企業におけるシニア層の雇用形態の多様化が進んでいる。何を大事にするかというシニアの価値観も多様だが、企業がシニアに求めることも一律ではない。両者のマッチングを最適なものにするには、雇用形態も勤務形態も多くの選択肢を用意した方がよい。
コマツは、定年時期を選択制としてフルタイムで働く年齢を柔軟に決められるようにするとともに、一旦退職して再雇用に切り替え、パートタイムで働く道も用意した。パートタイムの場合は副業を認めるというのも新しい試みだ。かつて、60歳以降は一律に再雇用とし、賃金を75%に削減していたことに比べると、従業員の選択肢は広がった。
新制度の下では、65歳まで定年を延ばしても正社員としての人事賃金制度が適用されるため、定年を遅らせる社員が多くなると思われるが、専門的なノウハウを持ったシニアには副業をしながらパートタイムで働くことを希望する人も少なからずいるだろう。企業機密の漏洩を懸念してきた重厚長大産業でも、担当業務を限定すれば、副業を認める余地はある。