60歳以上の7割「働きたい」、理由は収入と老化防止

政府は20日の閣議で、2016年版「高齢社会白書」を決定した。60歳以上を対象にした就業に対する意識調査で、収入を伴う就労を希望する割合が71.9%に上ったことなどを掲載した。

白書によると、65歳以上の高齢者は15年10月1日時点で3392万人で、総人口に占める割合は26.7%と過去最高を更新した。雇用者は458万人で、60~64歳の雇用者(438万人)を初めて上回った。65歳以上の13.5%が仕事をしていることになる。

意識調査では何歳ごろまで働きたいかも聞いた。「働けるうちはいつまでも」が28・9%と最も多く、次いで「65歳くらい「70歳くらい」がいずれも16・6%。働きたい理由は「収入がほしい」(49%)、「体によい、老化を防ぐから」(24・8%)が多かった。
(日本経済新聞 5月20日)

不動産仲介会社を経営している65歳の知人は「若い頃に比べれば金を使わなくなったけど、それでも月に40万円ぐらいの収入は必要だね。この年になって、貯金を切り崩したり、食費をケチケチするような生活はしたくないからね」と話していた。

69歳のフリーランス編集者も「月20万円の年金じゃ食べていけないよ」と収入の確保が就労の動機だ。

定年が65歳まで延びたことを背景に、その後の5年間が第二の人生となり、多くが70歳まで普通に働く時代になるだろう。高齢者の定義も65歳以上から70歳に変更され、いずれ75歳に引き上げられるのではないか。

国は健康寿命の延伸に取り組んでいるが、健康寿命を終えてからを高齢者と分類し、医療介護保険と年金の財源を大幅に軽減したいはずだ。