シニア社員の賃金引き上げ、富士電機
重電大手の富士電機は28日、60歳以上の一般社員の賃金水準を引き上げる方針を固めた。4月に報酬制度を改定する。選択制だった定年も満65歳に統一する。シニア社員の労働意欲の低下を防ぐとともに、人手不足の解消につなげる狙いがある。富士電機では、社員が60歳以降も働く場合、給与や一時金が60歳時点の6割程度に下がっていた。この水準を75%まで引き上げることで、年齢を重ねても働きやすい環境に改善する。
(時事通信 3月1日)
定年延長や60歳以上のシニア社員の処遇改善を行う大企業が増える中、富士電機も65歳までの定年延長と給与水準の改善に踏み切った。もっとも、既に定年は選択制を導入しており、2023年度の一般社員の定年延長選択率は85.5%だ。65歳への定年延長は現状追認ともいえる。給与水準も75%まで引き上げて待遇は改善される。59歳までと比べると下がることには変わりはないが、個人差は広がる可能性はあるので、現役に近い給与をもらう人も出てくるだろう。
因みに、幹部社員については、「シニアタスク制度」と呼ぶ制度を導入しており、60歳以降もパフォーマンスによっては60歳以前と同水準の処遇を可能としている。これは、60歳到達時の役職に応じた処遇決定方式から、60歳以降に従事する仕事の価値に応じた処遇への転換だった。一般社員の処遇も、今後、今回の人事制度改定を経て、幹部社員と同様の制度に近づいていきそうだ。