バンダイ、シニア社員の年収6割上げ

玩具大手のバンダイ(東京)は12日、61歳以上のシニア社員(定年再雇用社員)の年収を従来水準に比べて、平均で58%引き上げると発表した。物価高騰への対応や働く意欲の向上につなげるため、4月から報酬制度を改定する。従来の制度では、定年再雇用後は給与が大きく下がっていた。同社によると、社員によっては再雇用前の水準を維持できるよう、給与の算定方法などを見直す。
(時事通信 2月12日)

バンダイに限らず、多くの大企業で定年後の再雇用で給与が大きく下がっていた。仮に、再雇用後の給与が再雇用前の6割に下がっていたとすると、58%の引き上げによって、再雇用後の給与は再雇用前の0.6×1.58=0.948、つまり94.8%となる。ほぼ同水準と言っていいだろう。58%増をプレスリリースの見出しにしたのはインパクトの大きさを狙ったものと思われるが、定年前後で給与を6割程度減らしていた企業が、定年後も給与水準を維持できるよう改定すると必然的にこうなる。

定年再雇用社員の給与水準を現役並みに引き上げる流れが続く中、バンダイ以外にもシニア社員の給与を6割程度上げる企業が増えると思われる。ただ、その給与の上昇に見合う付加価値をシニア社員からどう引き出すかは、各社の工夫が問われるところだ。