民間企業の定年年齢は「60歳」が圧倒的多数
セレクションアンドバリエーションは2月4日、「定年延長を含む高齢者に対する働く環境整備の取組状況」の調査結果を発表した。同レポートは、人事院が実施している「民間企業の勤務条件制度等調査(2024年9月更新)」を基に、昨今の定年退職制度や再雇用制度の導入状況を分析したものである。
(中略)
定年年齢は各年において60歳が他年齢に比べ圧倒的に多くなっているが、2023年は75.7%(2017年比-10.5%ポイント)と減少傾向にあり、各企業が定年を延長する傾向にある。また、60歳の次に多いのは65歳で、同年齢は2017年比で9.6%ポイント増加している。これは2017年に60歳を定年としていた企業の多くが2023年に65歳に定年を変更したことが考えられる。
(マイナビニュース 2月10日)
定年年齢は60歳としている企業が75.3%に上り、全体の4分の3を占めているが、一方で、定年年齢を65歳にする企業が増加傾向にある。今まで定番であった60歳定年で65歳までは再雇用という人事制度が、65歳定年で再雇用なし、あるいは、65歳定年で70歳まで再雇用可という制度に置き換わっているようだ。60歳定年を維持している企業でも、継続雇用制度として、再雇用よりも勤務延長を選択する企業が増えている。勤務延長制度は、定年年齢に達しても雇用形態を変えずに雇用を継続し、退職金は勤務延長期間終了時に支払うという制度であり、希望者全員に適用するのであれば、定年年齢の引き上げとあまり差がない。
シニア層の社員に余剰感のある一定数の企業は、60歳定年と65歳までの再雇用を維持すると思われる。しかし、多くの産業で労働力不足が顕在化する中、日本経済全体では、定年年齢の65歳への引き上げが今後も増加していきそうだ。