年収は希望よりも100万円少ない?65歳以上のシニアの仕事観を調査
ヒューマンホールディングス株式会社は、定年退職後に就労している65〜74歳の男女1,000名を対象として「シニアの仕事観とキャリアに関する実態調査2025」を行い、結果を発表した。その内容を一部抜粋して紹介する。
【定年後に働く理由】は、1位「生活費を得るため」、2位「社会とのつながり」、3位「身体的健康の維持」
【現在の職業に就いた経緯】は、1位「再雇用」、2位「異なる業界・異なる職種で転職・再就職」。定年後に新たなキャリアを構築している人も多数
【理想的な1週間の就労日数】は「3日」。一方、「実際の1週間の就労日数」は「5日」が47.7%
【希望する年収額】は「300万円〜400万円未満」。一方、実際の年収額は「200万円〜300万円未満」で100万円の差
(求人ボックスジャーナル 1月31日)
単純に各質問の最も多い回答を組み合わせると「生活費を得るために再雇用で働いており、理想は週3日働いて300万円〜400万円未満の年収を得たいが、現実には週5日で200万円〜300万円未満」となる。確かに、年金の他に300万円〜400万円の収入があれば、ゆとりのある生活ができそうだ。一方、年金や資産が多く、「社会とのつながり」や「身体的健康の維持」を目的として就労する人の中には、200万円〜300万円未満でよいから週3日働くことを選択する人もいるだろう。
では現実はどうか。1日8時間働くとすると、年間の労働時間は、週5日の場合、8×5×52=2,080時間、週3日の場合で1,248時間となる。令和6年度の最低賃金の全国加重平均額は1,055円なので、もし、最低賃金で働くとすると、週5日で1,055×2,080=2,194,400円、週3日で1,316,640円となって、理想には遠そうだ。むしろ、週5日で200万円〜300万円未満という現実の年収枠に入っており、最低賃金に近い給与水準で働いている高齢者が多いことが伺える。
年収を理想に近づけるには、最低賃金の仕事よりも付加価値の高い仕事をする必要がある。今まで蓄積してきた経験やノウハウの活用に加え、リスキリングなどによる新たな能力開発を続け、より高い付加価値を生むことができるよう努力することが重要だ。