日本特殊陶業、定年後も現役並み給与

日本特殊陶業は4月から、定年後に再雇用したシニア社員が現役時と同じ給与水準で働ける制度を導入する。当面は60歳以上65歳未満の社員を対象とし、将来的に再雇用の上限年齢も撤廃する方向。セラミック産業は脱炭素化など事業の変革期にある。ベテラン層の待遇改善で意欲を引き出し、人材確保につなげる。
(日本経済新聞 1月28日)

50代の給与水準の高い大企業では、60歳定年後の給与が大きく下がることが多かった。しかし、60歳以上65歳未満のシニア社員の処遇改善に乗り出す企業は増えている。ただ、一律に給与を引き上げるのではなく、成果によって個人による差を付けるケースも多い。年齢よりも業務内容や成果によって給与や役職を決めるというのは、若年層も含めた人事制度全体のトレンドではあるが、シニア層に対しては、より強く、その傾向が現れている。

日本特殊陶業の場合も、管理職を7段階、非管理職を5段階に分けて評価し、最高ランクで高い成果を上げれば、現役並みの給与と役職とする制度を導入した。定年後再雇用の社員を管理職にするのは、制度設計上、難しい面もあるが、野球やサッカーのようなプロスポーツの監督が短期契約であるように、短期契約の管理職というのは、今後、一般企業でも普通になる。シニア向けの新たな人事制度は、この後に続く全社の人事制度改革の試金石でもある。