学び直して起業も「シニア大学生」が増加中

卜部美緒さん(62)は、学び直しを経て起業した。22歳で慶応大学文学部を卒業し、全日本空輸(ANA)に入社。一般職から総合職へ転換して、グループ企業の執行役員などを歴任する。59歳で情報経営イノベーション専門職大学に入学し、10・20代とともに経営やICTについて学び直した。そして61歳で、大学の40歳年下の“同期”と、メディア会社「MediAlpha」を起業した。
(ABEMA TIMES 1月25日)

起業するかどうかは別にして、定年退職後に大学や大学院で学び直しをする人は少なくない。第2の人生を第1の人生の延長ではなく、新たな人生にするには、学び直しは良い契機となる。

卜部氏のように常に最新のITシステムを導入しているANAのグループ企業の執行役員であれば、経営やICTについての造詣は元々深い。しかし、そうであったとしても、大学で学生として生活してみると新たな気づきを得ることがある。特に、大学生と対等に会話することは、シニアにとってはなかなか得られない体験であり、感じることも多い。ANAの新入社員も同世代だが、新入社員と執行役員の間に対等の会話はない。新入社員が執行役に報告することはあっても、多くの場合、その報告書は課長、部長、本部長など様々な人のレビューを通過した後の当たり障りのない内容だ。若い人の発想を直接聞く機会は組織の中ではあまりない。退職の機会に大学へ戻って、知識だけでなく、マインドもリセットすることは、シニア自身の可能性を広げる上でも重要だ。