「団塊の世代」が後期高齢者に…どうする「2025年問題」
今年は「団塊の世代」が75歳以上となり超高齢化社会が本格化する。この「2025年問題」に企業はどう対応するのか-。長崎新聞社と十八親和銀行系シンクタンク長崎経済研究所(長崎市)が合同で県内主要企業・団体トップにアンケートすると、7割が業務効率化・自動化を進めている。
選択・複数回答方式で94人が回答。「業務の効率化や自動化」が67人と圧倒的に多かった。ある製造業は「新規雇用機会が激減し、応募人員数は伸び悩んでいる。高齢化に伴う引退・退職が継続して発生しているので、省力化・省人化を極めて高スピードで進める必要性に迫られている」と実情を明かす。各企業・団体からは事例として、人工知能(AI)の活用やペーパーレス化、グループウエアによる情報の即時共有化などが挙がり、放送業の一人は「より少ない人数でのオペレーションが可能な体制を目指している」という。
(長崎新聞 1月10日)
2025年問題は長崎県だけでなく全国的な問題だ。ただ、長崎県は造船業のような大企業と地場の中小企業が混在し、農業、漁業のような第一次産業、観光業のような第三次産業も盛んで、産業構造のバランスが取れているという意味では、日本の縮図のような地方自治体といえる。
この長崎県の経営者が最も重視しているのは、「業務の効率化や自動化」だ。「高齢者雇用促進」や「女性や若者の雇用促進」という回答もあったが、労働生産性の向上に関する回答ほど多くはない。最も人口の多い団塊の世代が75歳以上になれば、その後の世代の人口は相対的に少なくなる。60~70歳の高齢者や女性の雇用を増やすとしても限界がある。そうであれば、少ない人員で如何に高い付加価値を生み出すかに注力する他ない。特に、今まで、生産性が比較的低いとされてきた高齢者の業務を業務プロセスの改善やDXの推進によって、高齢者でも高い付加価値を創造していけるよう、改革を進めていくことが重要だ。