定年過ぎシニア、なお輝き 中小企業支える「年の功」

中堅・中小企業が他社で定年を過ぎたシニアを採用し、その力を最大限引き出そうと職場環境を整えている。肉体的な負担を軽くする一方、資格取得を支援して働く意欲を持ち続けてもらうなど工夫を重ねている。弱みを補い、豊富な経験を生かして業績の向上につなげている。
建設業のトーケン(金沢市)は技術力を高めるため、大手ゼネコンなどで定年を超えたシニアを積極的に採用している。IT(情報技術)を活用して移動の負担を軽くするなど働きやすい環境を整えてきた。
(日本経済新聞 1月9日)

大手ゼネコンの社員が定年後に取引先の中小企業に転職することは、昔からよく行われていた。ただ、今までは、取引先がゼネコンのシニアを受け入れる目的は、ゼネコンとの取引関係の強化が中心だった。しかし、今やシニア採用の目的は変わりつつある。

人材不足が深刻化している建設業界では、年齢に関わらず、能力のある人材が欲しい。シニア採用においても、取引関係強化だけでなく、その経験とノウハウを業務で発揮してくれること期待している。取引関係のためだけであれば、ゼネコンの定年退職者は社員として存在しているだけで良いが、能力を発揮してもらうためには、トーケンが行っているように、ITを活用した肉体的負担の軽減や資格取得支援による意欲の向上などの施策が重要だ。こうした施策が実を結べば、取引関係のないゼネコンなどの大企業からもシニア人材の獲得が可能となり、人手不足解消の一助となるだろう。