相棒は安らぎロボット、カシオとMIXI
人の相棒となるコミュニケーションロボットの重心が「便利さ」から「安らぎ」に移っている。カシオ計算機とMIXIは、人工知能(AI)を活用し利用者を癒やす機能に特化したロボットを開発した。単身世帯が増え高齢化も進む中、孤独に寄り添うことがビジネスとして成立しつつある。
東京都千代田区のビックカメラ有楽町店の入り口。モコモコした物体が展示され、行き交う人々が手で感触を確かめていた。カシオ計算機が2024年11月に発売したロボット「Moflin(モフリン)」だ。永田悠真さん(23)は「かわいい。一人暮らしの家にあるとうれしい」と話す。愛らしい姿のなかには先端技術が詰まっている。カシオが独自開発したAIやデータ通信装置など外部環境を把握するシステムを内蔵する。
(日本経済新聞 1月7日)
人に安らぎを与えることを目的としたロボットは、アイデアとしては古くからあるもののビジネスとして拡大することはなかった。1999年に発売されたソニーのロボット犬AIBOは、一定のハイテク好きには支持されたが、広く一般に広がることはなく、2006年に生産を終了した。このコンセプトが復活したのは、外形をロボットより犬に似せたaiboが2018年に登場してからだ。ロボットを可愛くするよりも、可愛い外形をしたものをロボット技術やAIで賢くした方が、人は親しみを感じ、安らぎを得る。ぬいぐるみは動かなくても可愛いが、本物の動物のようにコミュニケーションが取れれば、さらに可愛い。
こうした人が親しみを感じるロボットは、孤独な高齢者の話し相手として期待されている。しかし、話すことで高齢者が得るのは安らぎだけではない。高齢者がストレスなく話せるということは、ロボットに搭載されたAIが相手の意図や心情を理解し、それに合わせた受け答えをすることができるからだ。この機能があれば、仕事での相談相手としてもコミュニケーション能力を発揮することができる。親しみやすい外形をしたコミュニケーションロボットは、高齢者が仕事をする上での相棒としても、利用されるようになるだろう。