中高年、スタートアップへ 賃金とやりがい求め転職8割増
40代以上のスタートアップへの転職が目立ってきた。
(中略)
資金の流入で給与水準が高まり、従来は難しかった「やりがい」の追求に現実味が帯びる。経験やノウハウを新天地で生かそうと中高年が動き出した。
「まだ活力もある。これまでの経験を新しい分野で生かし挑戦したいと考えた」。大型蓄電池などを開発するスタートアップ、パワーエックスに勤務する男性(53)は今年6月、大手自動車メーカーから転職した。前職には25年以上在籍し、米国法人で調達担当の副社長を務めた。パワーエックスでの役職は調達部門のリーダー。「在庫管理や交渉など調達業務を一通りやってきた経験が生きている」という。
(日本経済新聞 12月22日)
スタートアップが経験豊かな人材を必要としていることは、昔も今も変わりはないが、今は、大企業の中高年がスタートアップへ転職するケースが増えている。その要因のひとつは、スタートアップが中途採用に高い報酬を提示するようになったことだ。
かつては、スタートアップは経営者を中心とする創業メンバーが組織の中核を担い、その下の実務層を新規に採用していた。その場合、経営者よりも若く給与の安い若年層を求めることが多かった。しかし、スタートアップが資金力を持つようになり、より人件費に投資して、優秀な人材を獲得するようになってきている。経営陣の一角で財務の責任者であるCFOや技術担当のCTOを外部に求めることも珍しくない。そうなると大企業で実務経験を積んだシニア層も求人のターゲットとなる。この層の流動化が進み、成長産業へ人材がシフトすることは、個々のスタートアップだけでなく、日本経済全体の成長にも寄与するだろう。