三菱UFJ銀、定年再雇用賃上げ 最大4割

三菱UFJ銀行が、60歳の定年退職後に再雇用した行員の給与を2025年度から最大で4割引き上げることが12日、分かった。人手不足感の高まりを受け、経験や技能を持つシニア行員を活用するため処遇を改善する。再雇用者が選べる勤務日数の上限も週4日から週5日に増やし、定年前の収入を維持できるようにする。
(時事通信 12月12日)

60歳以降の従業員の処遇を改善する企業が増える中、三菱UFJ銀行も定年再雇用の大幅な賃上げに踏み切った。今まで、銀行業界は、支店の統廃合などの合理化で余剰人員を抱え、人手不足感はフィンテックやAIへの対応などの特定分野に偏っていた。しかし、金利のある世界の復活を迎えて、富裕層対応など個人顧客へのリーチがマーケティング戦略上、重要になってきている。銀行員が従来持ってきたリテールのノウハウが活きる局面だ。定年退職後に再雇用した行員の付加価値は相対的に向上した。処遇改善は合理的な流れだ。

今回の処遇改善で、再雇用社員の年収は最高で1000万円を超える。もっとも、2024年3月期における三菱UFJ銀行の平均年収は平均年齢: 39.6歳で813万円であり、1000万円程度の年収は、さほど高額ともまではいかない。特に、50代の部長、支店長クラスの年収は2000万円を超えており、年収1000万円でも半分以下となる。上級管理職を含めたより幅広い層のシニアの活用を目指すなら、さらに、再雇用社員の職務と処遇を現役に近づけることになるだろう。