資産寿命、長持ちの秘訣は「賢く働き、賢く使う」

健康なシニアが増えた今、定年後も働いて収入を得ることが老後のマネープランの一つとして関心を集める。
(中略)
充実したシニアライフを送るためには①公的年金②退職金③運用や貯蓄によってつくった蓄え――の3本柱で資金を準備することが、これまでの王道だった。しかし近年、「シニアになっても働き続けて収入を得る」という、4本目の柱が注目されている。背景にあるのが、昔に比べて健康状態の良い高齢者が増加していることだ。いつまでも社会との繋がりを保ちたいと、就労意欲の高い高齢者が年々増えている。
(日本経済新聞 12月9日)

既に65歳までの就労は一般的になった。60~65歳の多数は、60歳で定年を迎え、収入は減るものの再雇用で働き続け、その収入で生活して、退職金やこれまで貯蓄してきた資産を減らさず運用に回している人達だ。ここ数年は、定年の延長や廃止、再雇用の待遇改善が進んでいるため、給与所得を主体とするライフスタイルが、ますます、主流となっている。一定の給与があれば生活は楽だが、この時期は将来に備え、収入の減少に合わせて賢く使うことが重要だ。

一方、65歳を過ぎると、働き続ける人の割合は、増加しているとはいえ、多数派ではなくなる。70歳までの雇用機会を確保している企業もまだ3割ほどだ。公的年金に頼りながら、必要に応じて退職金などの老後資産を取り崩して生活するケースが多い。こうした高齢者が生活水準を維持するには、自分に合った雇用機会を得て、無理なく長く働けるよう、賢く働くことが大事になる。また、社会政策の観点からは、65歳以上の高齢者が賢く働ける場を提供することが重要となる。