働く中高年の意欲引き出す、ウェルビーイングに国際規格

企業や自治体が社員や住民のウェルビーイング(心身の健康と幸福)を向上させるのに役立つ国際標準化機構(ISO)の規格がこのほど発行した。企業が指導的な役割を担う中高年の社員など向けに、仕事の意欲を高める行動計画作りの手順や効果を測る指標を考えるのに役立つ。規格に沿って取り組む企業は、人材の確保や投資の受け入れで有利になりそうだ。
(日本経済新聞 11月21日)

ウェルビーイング向上の重要性は一般に知られるようになってきたが、そのために具体的に何をすれば良いのかは理解されていないことが多い。企業でウェルビーイング向上の施策を立案する場合、「仕事の意欲を高める行動計画作りの手順」までは具体化できても、その「効果を測る指標」を決めるのは難しく、ウェルビーイングがどの程度なのか定量的に把握することは困難だ。「人材の確保や投資の受け入れ」は定量的に把握できるが、ウェルビーイングとの因果関係は明確でなく、ウェルビーイングがどのような目標を達成すれば、その結果、「人材の確保や投資の受け入れ」がどうなるのかは定かではない。結局、目標が定量的でない活動は、かけ声倒れに終わることになる。

今回、ISOで規格化されたことで、企業はひとつのリファレンスモデルを得た。ISOの規格が全ての企業に同程度に有効とは限らないが、自社の施策を立案する上で、参考になることは確かだ。特に、中高年のウェルビーイングを維持、向上させる要因について考えるヒントとなる。