シニア雇用、昇給可能な評価制度を4割導入

日本経済新聞社は2024年度の日経サステナブル総合調査のスマートワーク経営編をまとめた。人材を多方面で生かそうとする企業の姿勢が鮮明となった。シニア雇用では昇給につながる評価制度を導入した企業が4割を占めた。人材獲得競争が激しさを増すなか、多様性確保が企業の成長に直結するとみて、待遇改善などで人手の確保を急ぐ。
調査ではダイバーシティー(多様性)を推進するために導入している施策を聞いた。シニアの活躍推進(継続雇用)のために「人事評価を実施し、昇給を実施」するとの回答が40.5%に上り、2023年度調査から7.8ポイント上昇した。「人事評価や業績評価を加味した賞与を支給」も61.3%と、同3.9ポイント伸びた。
(日本経済新聞 11月14日)

日経サステナブル総合調査は全ての上場企業を対象として行われている調査だ。調査対象は、プライム市場に上場しているような大企業ばかりではないが、日本を代表する企業ではある。これらの企業は、かつては、60歳定年の後は65歳まで非正規で再雇用し、給与は6割減で昇給なし、というところが多かった。しかし、シニアに対する人事制度は、年齢による一律の処遇から「人事評価を実施し、昇給を実施」する制度へと急速に転換しつつある。「2023年度調査から7.8ポイント上昇した」のは、そのスピードが加速していることを示している。

人事評価の内容や昇給の幅については、企業によってばらつきがあるが、変化の方向性としては、シニア以外の正社員との差が小さくなる方向にある。女性やLGBTQであることを理由に評価と処遇に差を付けないのと同様に、近い将来、年齢のみを理由として差をつけない制度へと収斂していくだろう。