75歳以上の独居世帯、2050年に46都道府県で2割超す

団塊ジュニア世代が75歳以上になる2050年に1人で暮らす高齢者が急増する。国の研究機関が12日公表した世帯数の将来推計によると、山形を除く46の都道府県で、75歳以上人口に占める一人暮らしの割合が2割を超える。在宅医療や介護の体制拡充など、高齢者の生活を支える仕組みづくりを急ぐ必要がある。
(中略)
75歳以上に占める一人暮らしの割合の全国平均は20年の22.4%から、50年には28.9%に上昇する。この間に都道府県別も全て上昇し、50年時点では山形(18.4%)を除く全都道府県で20%を上回る。東京(35.7%)など8都府県では30%を超える。
(日本経済新聞 11月12日)

高齢者全体の数は増加を続けているが、高齢者の中で一人暮らしの割合も上昇している。このため、高齢者の独居世帯は、今後その相乗効果で、急速に増加する。在宅医療や介護の体制拡充が必要だが、現在でも労働力不足が深刻になっている中、高齢者の独居世帯の増加に見合う、在宅医療や介護の人員増加を期待するのは難しい。AIやロボットによる省人化も、在宅医療や介護では規模のメリットを受けにくく、導入のハードルは高くなる。介護はできる限り家庭で行うという従来のモデルは、限界が見えてきた。

医療や介護のサービスの生産性を上げるには、家庭より施設の方が有利だ。たとえば、介護施設での入浴では機械が使われるが、訪問入浴では人力に頼らざるを得ない。今後、新たに開発されるAIやロボットでも施設で組織的に導入した方が投資対効果は高くなる。一人暮らしの高齢者は、手軽に施設で医療、介護サービスが受けられるよう制度見直しも考えるべきだ。そのような施設で、AIやロボットの支援の下、健康な高齢者が働くことができるなら、高齢者の雇用拡大にも寄与することになる。