「給料」「キャリアイメージの不透明さ」がシニア社員のストレスの原因に
日本は元気な高齢者が増え、できるだけ長く仕事をすることを望む高齢者も多い。
(中略)
組織・人材開発支援事業を手掛けるリ・カレントが、東京都で働く50代・60代の就業者400人を対象にアンケート調査を実施。
(中略)
働く中で感じるストレスの主な要因を聞いたところ、「給与・収入など報酬に関すること」(34.6%)、次いで「今後の人生の先行きが見えないこと」(24.8%)、「業務で求められる体力が低下している」(21%)があがった。一方、働く中で感じる幸福感の要因として選ばれたのは、1番多かったのは「仕事に意味・意義を感じられること」(29.5%)。次いで「自分の強み・経験を活かして働けていること」(29.1%)、「職場の人間関係が心地よい」となった。
(介護ポストセブン 11月7日)
働く中でストレスを感じているのは、高齢者だけではない。ただ、高齢になると「業務で求められる体力が低下している」など、加齢による悩みもストレスの要因となる。また、「給与・収入など報酬に関すること」や「今後の人生の先行きが見えないこと」は、若年層でも抱えているストレス要因ではあるが、若ければ転職することも比較的容易だ。実際、厚生労働省の調査によると、2020年3月に大学を卒業した新入社員の32.3%が就職後3年以内に離職している。彼らの転職の最大の理由は報酬だ。加えて、近年では、「社員を育てる環境がない」や「他にやりたい仕事がある」も理由として上位に挙げられるようになった。これに対して、高齢者は転職の機会が限られる上、転職しても報酬などの条件が良くなるとも限らない。そのため、ストレスを抱えながら、今までの職場で働き続ける人も少なからずいる。
ストレスが高い状態で働くことは、本人にとっても雇用する企業にとっても望ましいことではない。高齢の社員が高い生産性を維持し、優れた付加価値を生み出すには、ストレスを感じることなく能力を発揮できる労働環境が必要だ。企業は高齢社員の待遇改善を進めるとともに、その処遇に見合った成果を出せるよう、能力開発やキャリアパスの多様化を推進すべきだ。