50歳からあと20年、70歳まで働く選択肢が当たり前の時代に

60歳で定年を迎え、その後は悠々自適に余生を過ごせたのは遠い昔。今では70歳まで雇い続ける企業が増えている。
(中略)
各社の事情によって現実は「まだら模様」なのだが、シニア活用の動きを見ると人事制度としてのパターンは次の三つぐらいに分かれそうだ。一つは、ニトリのように60歳定年は変えずに再雇用を10年に延ばすもので、8月から全職種で再雇用を70歳まで拡大するトヨタ自動車もこのパターンだ。二つ目は先の大手メーカーのように、シニアの「戦力化」を狙って定年延長をするもの。そして三つ目は定年を延長した上で、その先70歳までの再雇用制度を組み合わせるパターン。今の主流である「60歳定年、65歳まで再雇用」を後ろ倒しする。
(AERAdot. 6月20日)

定年廃止に踏み切る大企業も珍しくなくなってきたが、主流は、再雇用を何らかの形で残して70歳までの雇用を可能にする制度だ。年齢に関係なく、能力と成果で処遇が決まる人事制度に若年層も含めて全社で移行できれば、定年は不要となるが、現行制度とのギャップが大き過ぎると現場の対応が難しい。制度は人事部門が設計しても、個々の従業員の評価は現場の管理職が行う。現場の管理能力が新たな人事制度に適応できないと、組織全体のパフォーマンスが低下する。しばらくは、現行制度の年齢を後ろ倒しにしていきしながら、試行錯誤を繰り返す企業が多くなりそうだ。
また、60歳超の従業員の働き方は多様化してきており、その評価と処遇は人によって差が大きい。この層に対する人事評価の経験の蓄積は、今後の若年層も含む全社員の働き方の多様化へ向けて、より良い対応をするための知見を得る機会にもなる。