90歳まで戦力、段階的定年を導入 富山市のアルコット

ビルメンテナンスの「アルコット」は就業規則に90歳まで5年ごとの「段階的定年」を導入した。高齢者でも戦力と捉えていることをアピールし、働く人の意欲の向上と人材確保につなげる狙いがある。同社は北陸3県の施設で清掃、保守点検、警備などを手がける。人手不足が深刻化する中、シニア世代の採用を強化。従業員約1900人のうち半数超を60歳以上が占め、70歳以上は28%と、20年前の6%から大幅に増えた。期限に定めのない無期雇用が中心で、70歳以上の平均勤続年数は10年を超える。
(北日本新聞 9月10日)

清掃、保守点検、警備といった仕事は、従来から高齢者の多い職場だ。この業界では、企業が定年後のシニア世代を積極的に採用してきた。一般企業が65歳まで雇用し、さらに、70歳まで雇用機会を延長する時代になると、アルコットのような企業が採用できるシニアの年齢も上昇する。定年を一定にすると勤続年数が短くなっていくため、期限に定めのない無期雇用にするのは一般的だ。
アルコットはそこに段階的定年というアイデアを導入した。一般的には、無期雇用はいつでも定年退職できるいわば1年ごとの段階的定年だが、アルコットの場合は、5年ごとの段階的定年だ。5年という期間を設けることで、会社もシニアも共に中期的な計画を立てることができる。企業の事業計画に年間計画と中期計画があるように、働くシニアも、人生の中期計画を立て、その目標を目指して日々の業務を行う方が良い、という経験則があったのだろう。参考になる事例のひとつだ。