ITシニア人材、「25年の崖」で主戦力
IT(情報技術)大手がシニア人材の待遇改善を急いでいる。富士通や伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は定年再雇用者の給与を現役世代と同水準に上げ、NTTデータグループは役職定年の見直しを検討する。老朽化した基幹システムの不具合が増える「2025年の崖」到来まで半年。ブラックボックス化した古いシステムは若手では対応が難しいケースもあり、知見のあるシニア人材は貴重な戦力になる。
(日本経済新聞 7月23日)
富士通やCTC、NTTデータはいずれも多くの事業を抱えている。その中には、2025年の崖に対応できるキャリアを積んできたシニアもいるが、会社全体で見れば、全く別の事業に従事してきたシニアも多い。今回の待遇改善は、会社が必要とする定年再雇用者の処遇を上げることを可能にするものであり、全てのシニアを対象とするものではない。2025年の崖とは無縁な大多数の定年再雇用者の処遇については、今後の課題だ。
ただ、一部の再雇用社員に対してであっても、年齢によって一律に処遇を決める従来の人事制度を変え、現役と同水準の給与の支給を可能にしたことには一定の意味がある。今後は、2025年の崖問題と無縁な事業部門においても、現場が必要とするシニアには厚遇を提供して引き留めることができるようになる。全社的にシニア人材活用の幅が広がる契機となることは間違いない。