カルビー、再雇用でも60歳前と同じ処遇に

雇用が長期化する中、企業の取り組みとしてメリハリをつけた評価制度やキャリア支援の仕組みが欠かせない。再雇用で待遇改善を進めるのがカルビーだ。60歳定年の同社では4月、再雇用社員を対象に65歳を超えても契約し続けられる「シニアマイスター」職を新設した。これまで給与は現役時代の7割程度としていたが、シニアマイスターは60歳到達前と同じ処遇をそのまま引き継ぐ。
(日経ビジネス 6月11日)

65歳超の社員の雇用形態について、企業がそれぞれ工夫を凝らし始めた。待遇の底上げと能力・成果に基づく評価は、多くの企業が導入している。加えて、カルビーは、シニアマイスターなどの職位を設け、組織内でのシニア人材の立場と職責を明確にした。カルビーは、既に、シニアエキスパートと呼ばれる職位を導入していたが、これは、「社外でも通用する高度人材」で、社会的評価が高いことが条件だった。これに対して、今回新設するシニアマイスターは、「社内で右に出る者がいない強みを持つ」者であり、社内での評価が重要になる。各部署や工場からの推薦が候補者となる条件だ。現場が必要とするシニア人材に、高い処遇を与えることについては、現場での理解が得やすい。
今後の課題は、社内で右に出る者はいるが、雇用継続を希望している普通の再雇用社員の処遇だ。希望する全ての社員に70歳までの雇用機会を提供するには、そこの工夫も必要となる。