シニア転職、学びが活躍の鍵

 定年退職を目前に転職する人が増えている。定年再雇用後の賃下げなどを見据え厚待遇職場への転職を求めるケースのほか、新天地でこれまでのキャリアを生かしたいという意欲的な動機をもつシニアもいる。一部企業ではシニアの経験やスキルを取り入れようと積極採用する動きも出始めた。入社後のミスマッチを防ぎ、能力を生かすための工夫も双方に求められる。
(日本経済新聞 7月18日)

定年退職を機に転職する人が増えているのは、シニア世代への求人が増えていることも一因だ。65歳あるいは70歳まで働くことを前提とするなら、60歳の人材を中途採用するのは不合理ではない。一部の企業に限られていたシニア採用が、様々な業界に広がりを見せている。シニアの雇用機会の拡大に伴って、シニアの側も自社に留まるか転職するかを真剣に比較考量するようになった。企業側が必要とするシニア人材を引き留めるためには、定年後の処遇を改善しなくてはならない。このため、大企業では、役職定年や定年再雇用によって給与が激減するのが普通だったが、現場が必要とする人材については現役と同等の処遇を維持する企業が増えている。
ただ、シニアが現役と同等の処遇を維持するには、現役時代と同様に、環境の変化に対応する努力を継続する必要がある。今まで蓄積してきた経験とノウハウを後進に伝えるだけでなく、新しい環境変化を学び、それに適応し続けなくてはならない。