せっかく連続テレビ小説決まったのに…観光ガイド不足

松江市の松江城とその周辺を案内する「松江市観光ボランティアガイドの会」が、会員の高齢化やシニア世代の雇用環境の変化で担い手確保に苦戦している。コロナ禍明けの観光需要の回復に加え、来秋には松江ゆかりの作家・小泉八雲の妻セツをモデルにした、NHK連続テレビ小説「ばけばけ」が放送予定。関係者は「このままでは、お客様のおもてなしができなくなる」と危機感を募らせる。
(読売新聞 9月1日)

多くの街でシニア世代の観光ガイドが活躍しているが、どの街もシニアの確保に苦労するようになった。退職する年齢が高くなって人材供給が細っているのに加えて、経済的な理由で就労するシニアが増え、ボランティアに従事しようとする人は以前より少ない。
松江市観光ガイドの場合、ガイド1名につき2,000円のガイド料を観光客から徴収している。松江城だけなら所要時間は1時間から1時間半なので、ガイド中だけを見れば時給はそれほど低くない。しかし、タクシー運転手と同じで、観光客を待つ時間などを含めた拘束時間で割ると、時給はかなり低くなる。ボランティア精神がなければ、なかなか続けることが難しい報酬水準だ。
観光ガイドが地域経済にとって重要で、需要も大きいということであれば、ガイド料の値上げなど、需要と供給のバランスに合わせた制度設計が必要だろう。その方が結果として、観光客の満足度も向上するし、地元シニアの雇用機会も拡大することになる。