増え続けるシニア労災、加齢や持病もハードルに

働く高齢者の労働災害が深刻になっている。高齢者の労災が多くなる一方、労災の申請や認定のハードルが高い面があるのだ。高齢者の労働力に期待する職場では、さまざまな工夫で安全と健康を守ろうとしている。シニア就労が広がりを見せる中、すべての職場で安全対策が急がれる。
(産経新聞 7月7日)

高齢者の雇用が拡大する中、労働災害に占める高齢者の割合が増えている。加えて、高齢者の場合、労災と認定されない事故も多い。本人が労災申請を渋ったり、申請しても加齢や持病が原因と見なされたりするケースが少なくないためだ。労災とされていないケースを含めれば、高齢者が勤務中や通勤途上で被る災害は、一般に知られている以上に増加している。
高齢者に対して労災制度を適切に適用するには、労災の認定基準を高齢者向けに具体的に定めて事業者や高齢者へ衆知させることが重要だ。全世代向けの抽象的な認定基準だけでは、事業者や本人が労災に当たるかどうかを判断できない。
また、そもそも、労災に認定されるか否かに関わらず、事故そのものをなくす努力も大切だ。転倒防止などの対策は進んできているが、機器の誤操作などによる事故の防止にも気を配る必要がある。