定年、再雇用の賃金改善傾向 人手不足で引き留め

新藤義孝経済再生担当相は2日の閣議に2024年度の経済財政白書を提出し、定年後に再雇用で働く高齢者の賃金に改善傾向がみられるとの企業調査の分析結果を示した。定年前に比べ再雇用時の賃金が8割程度以上とした企業が39%に上り、19年調査より増加。人手不足が深刻化しており、高齢者の待遇を良くすることで引き留めを図っているようだ。
(共同通信 8月2日)

かつては、定年後再雇用の賃金は、定年前に比べて6割程度というのが相場だった。しかし、ポストコロナの時代になって人手不足は深刻化し、再雇用時の賃金は上昇を続けている。定年前の8割以上とする企業が4割近くに達したことは、時代が既に転換点を超えたことを意味している。5割を超えるのは時間の問題だ。政府は70代前半の労働参加率が45年度に5割を超えることを目標にしているが、これもあながち夢ではない。
ただし、それを現実にするには、高齢者の賃金の上昇だけでなく、高い賃金に見合うだけの付加価値を高齢者が生み出せるようになることが重要だ。行政には、健康寿命を延ばすとともに、高齢になってもリスキリングを継続し、環境の変化にできる環境を整備することが求められる。