役職定年の廃止広がる、大阪ガスは来年度から

大阪ガスが、一定の年齢に到達すると管理職などの役職から外す「役職定年制度」を廃止する方針を固めたことが6日、分かった。現在55歳としている役職定年を令和7年度に廃止する。少子高齢化で人手不足が深刻化し、シニア層の活力を持続させるために役職定年を廃止する動きが企業の間で広まってきた。
大ガスはすでに、技術や経験のある人材を維持するため、社員の定年を7年度から15年度にかけ、現在の60歳から段階的に65歳まで引き上げると決定。役職定年廃止はこれに合わせた対応で「シニア層がやる気を高めて活躍できる環境を整える。年齢を問わず若手も含めて能力のある人材を生かす」と説明している。
(産経新聞 6月6日)

定年が60歳に延長された時代、若手の管理職への登用を妨げないよう、それまでの定年の年齢を役職定年とした企業が多かった。たとえば、定年が55歳であった会社は、定年を60歳に延長する一方で、55歳を役職定年とした。この論理に従えば、60歳以降も働き続ける今の時代では、役職定年も引き上げられるのは自然だ。
さらに、大阪ガスのように、役職定年そのものを廃止する企業も増えてきている。そもそも、役職定年がなければ若手の管理職への登用が妨げられるというのは、年功序列の人事制度だったからだ。年功序列の色彩が弱まり、年齢によらず、能力のある者が管理職へ登用される人事制度であれば、年長の管理職がある年齢で一斉に辞めてポストを空ける必要はない。今後は、役職定年を導入していないことが日本企業の標準的な人事制度になりそうだ。