働き手「予備軍」が20年前から半減、女性・高齢者の就業進む

日本の働き手が枯渇してきた。今は職に就かず仕事を希望する働き手の「予備軍」は2023年に411万人で15歳以上のうち3.7%にとどまり、割合は20年で半減した。女性や高齢者の就業が進み、人手の確保は限界に近い。企業を支えた労働余力は細り、非効率な事業の見直しを迫られている。
(日本経済新聞 4月7日)

人手不足を女性と高齢者の労働参加によって、緩和してきた日本経済だが、女性と高齢者の就業率も飽和する気配を見せ始め、外国人の大規模な受け入れをしない限り、国内の労働余力はなくなりそうな状況になってきた。労働余力がなくなれば、労働力の奪い合いとなって賃金は急激に上昇し、高い賃金を払えない企業は、人手不足倒産の危機に瀕することになる。
生産性の低い企業が市場から退出することは、日本経済全体の生産性を向上させることになり、日本経済の成長にとっては望ましいことだが、生産性向上よりも速いスピードで賃金が上昇すれば、企業のコストを押し上げてコスト・プッシュインフレを引き起こす。物価高を超える賃金上昇を目指していたはずが、急激な賃金上昇が賃金上昇を超える物価高を引き起こすことになりかねない。生産性の向上、特に、低賃金が長く維持されてきた女性や高齢者の生産性を向上が、賃金以上に物価が上がらない、つまり、実質賃金が上昇し続ける経済を実現する上で重要になる。