ニトリHD、70歳まで再雇用延長 報酬水準は現役の9割に
ニトリホールディングス(HD)は28日、7月から再雇用の上限年齢を70歳に引き上げると発表した。これまで60歳の定年以降は65歳までを再雇用の期間としていた。あわせて、再雇用した従業員の基本給や一部手当は定年前と同額にして、報酬水準を最大で定年前の9割を維持できるようにする。これまで制度上は65歳までを再雇用期間とし、65歳を超えた場合は個別対応で継続雇用していた。今後は基準を明確にして、現役社員が働く上での安心感につなげる。同社は「豊富な経験と知見を持ったシニア人材のさらなる活躍推進を目指す」としている。
(日本経済新聞 5月28日)
70歳までの雇用機会を提供する中で、再雇用制度の延長に動く企業が増えている。定年廃止や定年延長に比べると、現行制度の見直しで済み、導入のハードルは比較的低い。また、再雇用年齢の引き上げだけでなく、再雇用社員の待遇改善も同時に進める企業も増えた。その中でも、ニトリHDが打ち出した「最大で定年前の9割を維持」というのは、比較的高い報酬水準だ。最大の報酬を得る人がどのぐらいの割合を占めるのかにもよるが、会社としても相応の人件費負担を覚悟している。
もっとも、多くの企業で、現役社員と再雇用社員との報酬に格差ができるのは、再雇用時に報酬が減額されることの他に、再雇用後の賃上げが少ないことによる。ニトリHDは21年連続で賃上げを行っており、2024年の春闘では総合職に対して6%以上の賃上げを行った。今後、65歳以上の再雇用社員に対しても同水準の賃上げをしていくのか、同社の動向が注目される。