台湾も少子高齢化、海外労働者受け入れを拡大し日本・韓国と人材争奪戦

台湾は少子高齢化に伴う労働力不足を補うため、海外からの未熟練労働者の受け入れを拡大する。現在、東南アジアから70万人超を受け入れており、インドも新たに対象に加える。好調な経済の持続には労働力の確保が不可欠で、同じ課題に直面する日本、韓国との人材の争奪戦になっている。台湾は2月、未熟練労働者の受け入れに関する協力覚書をインドと交わした。台湾側が人数や業種を決め、インド側は募集と必要な訓練を行うという。
(読売新聞 5月19日)

台湾の合計特殊出生率は日本より低い0.87だ。日本より速いペースで少子化が進む。半導体など労働力を必要とする製造業に頼って経済成長を果たしてきたことを考えると、労働力の確保は今後の台湾経済を支える重要な鍵となる。台湾の製造業は製造拠点の海外移転を急いでいるが、その理由は、中国の台湾への武力侵攻に対するリスクヘッジだけでなく、労働力不足もそのひとつだ。

製造業は海外移転によって移転先国の労働力を使うことができる。しかし、サービス業は国内の労働力に頼らざるを得ない。少子化が進めば、外国人労働者の受け入れを拡大して労働力人口を維持する必要に迫られる。たとえば、台湾の老人介護では、介護施設の数が足りないため、個人で外国人を雇って家庭内で介護を担ってもらうことも少なくない。2023年で約21万人の外国人が家庭内介護をしており、その約75%がインドネシア人だという。今後、台湾の高齢化が進み、高齢者の数が増加すれば、外国人労働者への需要も高まり、インドネシアからの労働者だけでは足りなくなる。日本、韓国を含めた人材争奪戦は、今後ますます熾烈になりそうだ。