再雇用シニアに現役並み給与、スズキやGSユアサ待遇改善

60歳以上で再雇用したシニア人材の収入を高める企業が増えている。スズキは2024年から再雇用した従業員の給与を現役並みに引き上げた。日本精工やジーエス・ユアサコーポレーション(GSユアサ)も賃上げに踏み切った。待遇改善で優秀な人材を確保し、深刻化する人手不足に対応する。
(日本経済新聞 5月19日)

定年延長に踏み切る大企業は、まだ少数に留まるが、定年後の再雇用の待遇改善を進める企業は増えてきた。現役時代の概ね6割が相場とされてきた再雇用社員の給与も現役並みになりつつある。役職を離任すると手当が減少するなど、基本給以外の面で給与が減る要因はあるが、同一労働同一賃金の原則は、現役社員と再雇用社員との間では実現する方向に動いている。東北電力のように、再雇用の雇用上限年齢を70歳に引き上げた上で、管理職への登用も可能にする企業もでてきた。定年延長と再雇用制度との差は、しだいに小さくなるだろう。
近年、導入されている再雇用社員の待遇改善策では、待遇を年齢によって一律にするのではなく、働き方や能力によって待遇に個人差を付けることが多い。この結果、働き方の多様性という面では、再雇用社員の方が現役社員よりも自由度が高くなり、両者の差は広がっているとも言える。しかし、これも今後、現役社員の働き方の多様化が進めば、両者の差は小さくなる。結局、多様な働き方を認め、年齢に関係なく、能力と成果によって待遇が決まるひとつの人事制度へ統合されていくことになりそうだ。