「定年」がない会社、ベテランは培ったスキルを若い世代に

トヨタ自動車は、この夏から65歳以上の再雇用をすべての職種に拡大し、70歳まで働ける新たな制度を始めます。これまで日本では「60歳で定年」が一般的でしたが、高齢化や人材不足を背景に、雇用を延長する動きが加速しています。
愛知県豊橋市にある工作機械メーカー「西島」。100年前の創業当時から、ある特徴があります。「定年がないことで企業競争力が上がる。ベテランたちの唯一無二の価値は、培ってきた技術と経験なので、価値を生み出すことができる」(西島 西島豊社長) 西島では週5日、午前8時から午後5時まで働くことができれば、何歳になっても勤務できるといいます。従業員136人のうち、60代と70代はそれぞれ6人。最高齢は、80歳の関さんです。
(名古屋テレビ【メーテレ】 5月11日)

一般に、大企業よりも中小企業の方が、高齢者の雇用に積極的だ。日本を代表する大企業であるトヨタは、70歳まで働ける制度へ移行するが、中小企業の中には、元々、定年がない会社もある。特に、製造業の中小企業では、従業員一人一人の職人技に頼っているところもあり、働ける間は働いて欲しいと思っている経営者も多い。
高齢者を雇用する中小企業経営者は、世代を超えた交流を活発にして社内の一体感の醸成に努めている。西島でも、家族参加のイベントや社員旅行、山登りなど、社内行事が盛んだ。社員は家族という日本型経営の典型だが、こうした組織風土も高齢者を含めた多様な人材を有機的に結び付けることに一定の役割を果たしている。欧米企業も近年、組織での居心地の良さを改善し、帰属意識を高めるビロンギングを重視するようになってきた。日本企業の人事制度は個人重視の方向へ変化しつつあるが、その中にあっても、従来の日本型経営の良さを見つめ直すことも大切なのかもしれない。