みずほ、自社社員の年金刷新、運用商品2割減・確定拠出に
みずほフィナンシャルグループ(FG)は2024年度から自社の年金制度を従業員が自ら運用商品を選ぶ企業型確定拠出年金(DC)に一本化し、運用商品も厳選して2割減らす。運用商品の全面的な見直しは2005年以来となる。人材の流動化に適した制度に見直すと同時に、従業員の老後に向けた資産形成を後押しする。みずほFGはこれまで、企業が従業員に給付額を約束し運用リスクを負う確定給付型(DB)と自ら運用する確定拠出型を併用してきた。
(日本経済新聞 4月25日)
DBは企業が運用リスクを負うのに対して、DCは従業員が運用リスクを負う。低金利が続いた場合、運用の利回りが低迷し、DBでは、従業員に約束した給付額を支払うために、企業が追加負担を強いられることがある。これに対して、DCなら運用成績が悪くても責任を負うのは従業員であり、企業の追加負担は発生しない。みずほFGに限らず、多くの企業がDBからDCへシフトしようとしているのは、この将来の年金費用の変動リスクを回避するためだ。人材の中途採用促進のためだけなら、みずほFGが今までしてきたように、DBとDCを併用し、中途採用者がDCを選択できるようにすれば、事足りる。
DCへの一本化の影響は、中途採用者よりも中途退職者の方に、より強く表れる。勤続期間に左右されるDBでは、定年まで働きたいという意識が強くなりがちだ。企業が希望退職を募るときに壁になるのが、勤続年数が長いほど有利になる退職金と年金だった。年金が勤続期間に金額が左右されないDCだけとなれば、定年前に退職することへの抵抗は減退するだろう。