経団連、報告書「高齢社員のさらなる活躍推進に向けて」を公表
経団連は4月16日、報告書「高齢社員のさらなる活躍推進に向けて」を公表した。
(中略)
経団連が実施した調査結果等を基に、高齢者雇用の現状と課題を7項目に整理した。そのうえで、課題解決に当たって、(1)高齢社員のさらなる活躍推進を図り(2)能力や知識等に適した職務・役割を割り当て(3)成果・貢献度を評価して適切に処遇に反映する――という好循環を回すことを基本的な考え方とした。その際、「加齢に伴って心身の能力は低下していく」との従来のイメージにとらわれず、高齢社員の身体能力や心身の変化が就労に与える影響を適切に考慮することが有益である。
(経団連タイムス 4月25日)
経団連の報告書の指摘は正しい。ただ、その内容は、一般的で高齢の社員でなくても当てはまる。たとえば、「(1)高齢社員のさらなる活躍推進を図り」から「高齢」の文字を削除して、「(1)社員のさらなる活躍推進を図り」としても、それ以降の文章は正しい主張となる。「『加齢に伴って心身の能力は低下していく』との従来のイメージにとらわれず」というのは、高齢者に特化した指摘だが、これとても、「東大を始めとする難関大学の学生が仕事でも有能だとの従来のイメージにとらわれず、新卒採用の候補者の潜在的能力が就労に与える影響を適切に考慮することが有益である」としても成り立つ。
結局、日本企業の雇用の課題は、年齢や学歴、性別など、特定の属性でセグメント化した集合に対して、集合全体が持つステレオタイプのイメージに基づく人事を行い、個々の社員の能力や適性を重視していないことに起因している。日本企業が、より個々の社員の「能力や知識等」を見るようになれば、自ずと課題は解決に向かうだろう。