スキル生かしシニア社員「複業」、人材難の地元中小と連携

複数の仕事を兼ねる「複業人材」の積極活用に向け、国の実証事業が静岡県東部で本格化している。知識と経験を有する大企業のシニア社員と、人材難に悩む地元の中小企業が連携。バブル期に大量入社したシニア社員のキャリア形成を含め、双方の課題解決への枠組み構築を目指している。
(中略)
 経済産業省関東経済産業局の実証事業「地域の人事部」事務局の三島信用金庫などが昨年12月からスクールを三島市などで開講。県東部に住む60歳前後の東芝テック社員14人が、経験を振り返ってどの分野でキャリアを生かせるかを整理したり、複業人材として活躍する人の話を聞いたりした。
(静岡新聞 4月9日)

大企業の多くは、バブル期に新卒を大量に採用し、バブル崩壊後の就職氷河期に採用を絞ったため、50代後半の世代が突出して多いという歪な人員構成になっている。人手不足に陥っている業界では、この50代社員の社内での活用を目指しているが、逆に、人員に余剰感のある業界では、50代社員の社外での活躍を支援する企業が増えてきた。

従来、シニア社員を社外で活躍してもらうには、退職金の上積みを条件に希望退職を募るのが一般的だったが、退職後の再就職が自己責任では、転職に自信の持てない人の応募は少なく、実際に転職してみても、転職先の職場と合わないと感じる人も多い。シニアの雇用機会を社会全体で拡大するには、大企業に席を置いたまま、他の企業の仕事もする複業を経験することにより、ミスマッチを減らし、シニアに転職に対する自信を持ってもらうことも重要だ。