介護テックで職員負担減、移乗介護にロボやリフト

関東・山梨では介護人材が不足している施設が7割を超えるところが多く、全国平均(69.3%)を上回っている。重労働のイメージの強い介護業界は人材の確保が厳しい状況だ。現場の職員の負担軽減や働き方改革として期待が寄せられるのがロボットや人工知能(AI)などを活用する「介護テック」だ。
(中略)
介護老人保健施設フルリール甲府(甲府市)は県の支援を受け、車椅子からベッドやトイレなどへの移乗を支援する介護ロボ6台と介護リフト1台を23年12月に導入した。「移乗介助は転倒・転落事故の心理的不安が大きい。腰痛になって休職・離職の一因にもなっている」と作業療法士の杉田遼さんはいう。
(日本経済新聞関東版 3月30日)
介護は体力を必要とする仕事だ。保育も大変だが、片手で抱え上げることのできる乳幼児と大人の高齢者では、世話をする人の負担は大きく異なる。加えて、介護の現場では、職員の高齢化も進んできた。高齢の職員にとっては、要介護者の移乗介護など力を使う仕事は重労働だ。
この問題を解決するために、介護施設にロボット技術やAIを応用した機器を導入して、介護者の負担を軽減する様々な試みが行われてきた。補助金を出すなどして導入を支援している自治体もある。ただ、経済的な援助は機器の普及に一定の効果があるが、それだけでは十分ではない。補助金は費用対効果の費用の部分を低減させるが、効果を増大させるわけではない。製品の開発・導入期に重要なのは、費用に見合うように効果を向上させることだ。効果の向上には、現場のニーズの把握が重要になる。自治体が税金を投入して行うべき事業は、特定の事業者への補助金のばらまきではなく、地域の多くの介護事業者が抱える問題を集約、分析し、それを公表して多くのメーカーと共有することにより、問題解決のソリューションを広く市場に求めることだ。