厚生労働省はiDeCo（イデコ、個人型確定拠出年金、総合・経済面きょうのことば）に掛け金を出せる期間を現状の65歳未満から70歳未満に上げる。65～69歳で働く人は2023年に52%に達した。働きながら積み立てれば、将来の年金が増えやすくなる。掛け金の上限額と受給開始年齢の上限引き上げも検討する。
（日本経済新聞　3月24日）

高年齢者雇用安定法の改正によって、70歳までの就業機会の確保が事業主の努力義務となる中、iDeCoの掛け金拠出期間を70歳未満に引き上げるのは、政策の整合性を保つ上で必要な施策だ。むしろ、高年齢者雇用安定法の改正と同時に制度を変えるべきだった。厚生年金に加入している期間が長くなるのに、私的年金のひとつであるiDeCoの掛け金が拠出できなくなるのは矛盾している。

また、賃金と物価が上昇し、インフレ傾向が強まる中、掛け金の額を据え置くのも合理的ではない。少なくとも、公的年金の給付額のように物価スライド制を取り入れるべきだ。さらに、自助努力による老後資産の形成を促進しようとうするならば、物価上昇率以上の大幅な掛け金増額も検討に値する。